混沌の中に見出す平安

お母様方、母の日おめでとうございます!コロナ禍での1年目を乗り切りましたね。思った通りの1年でしたか。多分そんなことはないでしょう。特に私にとっては想定外の1年でした。

 私は、東京での新型コロナ感染流行第一波の初期に出産しました。ちょうど昨年の5月初め、東京はまるでゴーストタウン。(海外のように外出禁止というわけではありませんが)渋谷スクランブル交差点は、人通りが激減。病院では、配偶者、親戚を始め訪問者を一切認めなくなりました。出産であろうと関係なく、陣痛が始まっても付き添いは一切なし。は~っ。

ひどく落ち込み、怒りすら覚えました。こんな状況に置くなんて神様ひどすぎませんか、と思ったほどです。お母さん方、この気持ち、わかりますか。わかる人、手を挙げてください!

 ずいぶん後に、私は平安ではなく怒りに支配されていた、と気づきました。

 実は、私は自他ともに認める、超がつくほどの計画好き。特に計画通りに物事が運んだときは最高の気分です。裏を返せば、臨機応変なタイプではないということ。そんな私にとって、この1年は本当に大変でした。その中で学んだことを、お伝えしたいと思います。それは子育てのアドバイスでも、自己啓発でもありません。真理の書、聖書の言葉です。

 「そうすれば、人のすべての考えにまさる神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。」 ピリピ人への手紙 4:7 

神の平安。地上でのすべての出来事を超えた、平安です。

 人のすべての考えにまさる神の平安。それは、万事うまくいけば訪れるといった平安ではありません。概して人は、自分が思った通りに物事が進むと平安を得ます。でもこの1年間、人々の平安は根幹から揺るがされました。自分ではどうにもならない状況に直面したからです。一方、神の平安とは何でしょうか。それは、未知の世界で、物事が思うようにいかなくても訪れる平安。人間の論理を超えた平安。混沌の真っただ中に訪れる平安です。

神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。神の平安が私たちを心配、恐れ、疑い、不安から守ってくれます。自分の心を年中無休で守ってくれるガードマンなんているのでしょうか。はい、それがイエス・キリストです。イエス様は常に変わらない、愛に溢れた信頼できる、全宇宙の創造主です。イエス様を知れば、すべての考えに勝る平安が与えられます。イエス様があなたのガードマンです。

 私は聖書に出てくる3人の強き母親について思い出し、それぞれどんなふうに意気消沈したか考えてみました。

サラ 「あの人はまた子供を産んだのね。私は一生、子供なしの人生を過ごすんだわ。」

ヨケべテ 「なぜ神様は、エジプトの王女が息子を育てるのをお許しになるのでしょう。そんなのおかしいわ。」

マリア 「この馬小屋にスイート・ルームはないの?私は救い主を生むのよ!」

 3人が歩んだ人生は想定外のものだったでしょう。サラは、自分の女召使を通して夫に息子をもうけ、ヨケべテは自分の民族を抑圧したエジプト人に息子を委ね、マリアは結婚前に子供を宿し、自らの出産に立ち会ってくれる家族はいませんでした。(2020年に出産したお母さん方、聞き覚えのある話ですよね。)誰もそんな人生になるとは、思いもしなかったはずです。そんな三人が共通して持っていたもの。それは、神の平安です。

想定外の荒波に巻き込まれながらも、3人の母親は信じていたはずです。「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。」(ローマ人への手紙8:28)

 その結果、どうなったでしょうか。万事、うまくいったのです。自分たちが思っていた通りではありませんでしたが、主のご計画通りになったのです。先ほどのローマ人への手紙の聖句には、「私の」計画、「私の」目的、とは書かれていません。「神のご計画」です。3人は神のご計画、神のご意思にすべてを委ねたのです。神様に、自分を用いていただいたのです。もちろん、どんな状況であっても息子の誕生を喜んだことでしょう。一見、これは公平ではありません。でも、人生は決して公平ではなく、コロナも公平ではありません。それでも、私はローマ書8章28節を思い出すと、平安が与えられるのです。

 母の日に、家族に何かプレゼントしたいですか。ぜひ、神様の平安をあなたの心にお招きしてください。必ずあなたの家庭に祝福が訪れます。

 神様のご計画は、私たちが立てるどんな計画にも勝るものです。私は、人生で最も辛い時を過ごしたあの分娩室で、男の子を生みました。それは2020年5月10日、母の日でした。人生で初の、自分自身が母として迎えた母の日。息子を抱いて思わず微笑みました。これ以上の良い計画はあり得ない。我々の救い主、神様に栄光がありますように。

◇高木 マイケン